Physiology / 生理学
自生地でのブルーベリーは、通常の植物の生理代謝 − 葉での光合成、根からの直接栄養吸収、など − 以外に、土壌の菌類との共生により、栄養状態の良くない土壌での生育、酸性土壌での有害重金属の影響回避をしているようです。植物の生理代謝(特に微生物・菌類との共生)は、全てが明快に解明されているわけではなく、後追いでいろいろと新しい情報が出てくるかと思いますが、とりあえず断片的なメモをしておきたいと思います。
04/29/08
菌根菌の研究者の方と会話し、新たな見地を得ました。今までの記事が間違っているであろう部分もあります。ただ、完全に解明されてはいない部分も多いようですので、追記の形で、新たな見地を付け加えておきたいと思います。
- ブルーベリーの根の菌との共生
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ブルーベリーが属するツツジ科植物では、根に菌がつき、菌が植物の生育を助けているようです(少なくとも自然界では、)。
具体的には、植物と菌との間で次のような共生関係があるようです。- 菌が、栄養源を植物が吸収できる形に変換して植物に供給する。
- 菌が、酸性土壌で溶出が多くなる有害重金属の作用を緩和して、植物の生育を助ける。
- 植物が、光合成で作り出した炭水化物を菌に供給する。(ブルーベリーではこれがどうなのか???)
菌は、根のまわりに単に存在するのではなく、根の中に入り込んで共生するようです。この菌が共生した根のことを菌根(mycorrhiza)と呼び、根と共生する菌のことを菌根菌と呼んでいます。
蛇足ながら、菌根(mycorrhiza)というのは、菌類を意味する "myco" と植物を意味する "rhiza" が合体した言葉とのことです。
04/29/08
根と菌との共生は、ブルーベリーに限らず多くの植物で観察されています。菌との共生がないと、自生の拡大ができないというようなこともあるようですが、詳細は不明です。
- 菌が、栄養源を植物が吸収できる形に変換して植物に供給する。
- ブルーベリーの菌根(mycorrhiza)
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菌根には以下のような分類があるようですが、ブルーベリーはこの中でエリコイド菌根というものになるようです。
エリコイド菌根は、菌が根の内部まで入り込む形(内生菌根)をとるようです。- VA菌根
- 内外生菌根
- エリコイド菌根 ← ブルーベリーの菌根
- アープトイド菌根
- モノトロポイド菌根
- ラン菌根
04/29/08
ブルーベリーの根と菌との共生の形態は、エリコイド菌根とは限らないようです。上記の菌根のバリエーションは、根と菌との共生の形態からの分類で、ツツジ科植物でもVA菌根があるとの考え方をした方がよさそうです。
ちなみに、VA菌根とは、宿主根組織内にリン脂質の貯蔵体である嚢状体(Vesicle)や、宿主との物質交換媒体である樹枝状体(Arvuscule)といわれる共生器官を形成するもの。エリコイド菌根とは、宿主根組織内にコイル状の共生器官を形成するもの、ということです。
また、VA菌根菌は、全ての菌種が必ずしも嚢状体(Vesicle)を形成しないことが判ってきたことから、最近では、AM菌 (Arbuscular菌根菌)と総称されることが多くなっているようです。
- ブルーベリーの菌根についての考察
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本から得た情報にSevenの推察を織り交ぜ、次のようではないかと考えています。
この項は、間違っていることがあるかと思いますが、本当のところが判り次第、修正して行きたいと思います。- ブルーベリーの菌根を形成する菌は、単一の菌のみではなく、多種があるようです。
- ブルーベリーの菌根を形成する菌は、腐生菌(材木腐朽菌、などなど)が主で、落ち葉・枯れ枝などを菌が分解して、ブルーベリーに窒素、リン酸などを供給しているように思える。
- ブルーベリーは、植物が直接吸収できる形の栄養素を豊富に含む土壌には自生していないとの認識で、そのような土地で生育するためには、分解が進んでいない有機質を効率良く栄養素として利用できるような仕組みが必ず必要。その点からも、前項のような推察が正しいように思える。
- ブルーベリーが木材チップのみの栽培で良好な成長を示すこと、特に生のチップでも元気に育つということも、腐生菌と共生し、菌から直に無機栄養素を取り入れているためと推察できる。
- これらのことが「正」であれば、ブルーベリーの根と共生する菌根菌を優位に動かすような土作りがブルーベリーを元気に育てるための大きなポイントとなりそう。
- 殺菌剤などの農薬を散布しての栽培( = 菌根菌を含む土壌微生物を排除しての栽培)の場合は、ブルーベリーが必要とする無機栄養素を人工的に供給すること、また、酸性土壌での有害重金属類の影響回避などを考えないと生育の安定が難しいのではないかと思える。
04/29/08
2項は、かなり疑問。間違っている可能性大です。
3項は、大枠はそうかもしれないが、2項に絡む部分は疑問。
4項は、VA菌根菌とかエリコイド菌根菌とかの菌根菌とは別の仕組みが作用している可能性がある。
5項、6項は、大枠はそうかもしれないが、仔細な検証が必要そう。
- ブルーベリーの菌根を形成する菌は、単一の菌のみではなく、多種があるようです。
- ブルーベリーの菌根(mycorrhiza)の実際
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ブルーベリーの菌根(たぶん)を観察・撮影することに成功しましたのでご紹介します。
このような状態を目の当りにすると、やはり「根」が重要で、それと共生する「菌根菌」の重要さを感じます。以下で紹介しているものは、BlueBerryVillage でチップのみで栽培しているブルーベリーの根で確認したものです。
写真[A]のように木材チップの表面にブルーベリーの根がピッタリと張り付き、木材 → 菌根菌 → ブルーベリーの根 というように栄養吸収しているであろう様子が見て取れます。04/29/08
これらの観察は、菌根菌ではない可能性が大です。
ブルーベリーの根での菌根菌の姿を観察できた時点で、それと対比する形で記事を修正したいと思います。
現時点では間違い記事として見ていてください。(すいません)
- 参考:「根の辞典」の抜粋
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ブルーベリーの菌根について最初に気づかされた本の記述です。
図書館で「根の辞典」なる本を発見し、面白そうなのでパラパラ読んでいて、ブルーベリーにあてはまりそうな記事を発見しました。
ツツジ型菌根
ヒースなどのツツジ科植物に形成される菌根は、これらの植物が酸性の泥炭土壌において優占するうえで重要な役割を果たしている(Harley and Smith, 1983)。
i) 窒素およびリン酸吸収の促進
外生菌糸の伸長により土壌中の窒素(特にアンモニア態窒素やアミノ態窒素)とリン酸の吸収を促進する。
ii) 重金属耐性
低pH土壌で可給化する重金属の吸収を抑制することにより、酸性土壌(acid soil)での生育を可能にする。
- 参考:海外のWebページでの記載
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ブルーベリーの特性などを記述した海外のWebページ(URL:http://pss.uvm.edu/egarcia/PSS122NOTES/page11.html)でも、菌根の存在を示す記述がありました。やはり、酸性土壌で旺盛な成長を示すブルーベリーの根での代謝には菌根が深く絡んでいそうです。
以下は、このWebページの「Blueberry Morphology」の項の根に関する部分の引用です。下線部分が該当記述です。
Roots
- Blueberry roots are fine and fibrous, and have no root hairs -adventitious from rhizotomous activity
- roots are usually shallow and remain within the drip line of the plant
- lateral transport is minimal in the root system
- root system distribution is limited by soil moisture and organic matter
- endotrophic mycorrhiza (fungus) can inhabit roots, contributing to a symbiotic relationship; the result is an aid to the plant in: 1) N availability, and 2) water absorption