マルチ資材


地植え株へのマルチング
スギ、ヒノキを主とした針葉樹の樹皮と小枝の粉砕物(チップ)をマルチ材料としています。


鉢植えへのマルチング
見栄えも兼ねて粗い針葉樹チップを敷いてみています。

最近、マルチ資材に興味を持ち、ある程度追求しましたので、その成果をまとめておきます。皆さんのマルチ資材選定の参考にどうぞ。

まずは、「マルチ」って、どんなスペルかご存知ですか?
そんなの初歩的知識と笑われるかもしれませんが、Sevenはこの項を起こそうとして初めて mulch というスペルであることを確認しました。
研究社新英和中辞典では、「(移植した植物の根または果実を保護する)根おおい、敷きわら、マルチ。」と出てました。
また、ロングマン現代英英辞典では、「decaying leaves that are put on the soil to improve its quality, to protect the roots of plants, and to stop WEEDS (=unwanted plants) growing」と出ていました。
文化圏が異なっても、植物の根まわりに敷きわらをして、土を肥沃にしたり、根を保護したり、雑草を抑制したりするという同じ知恵が生まれているというのは、とても面白いことですね。

さて、本題。
ブルーベリーにとってのマルチの効用は、以下のようなものがあります。

  1. 保湿性確保
    根まわりにマルチすることによって、土の保湿性が飛躍的に高まります。雨が降らず、周りの土がカラカラに乾燥していても、もので覆われた下の土は湿っているものです。
    ブルーベリーのように、乾燥に弱い植物では、この効果はとても大切です。

  2. 雑草抑止
    マルチで土の表面をある程度厚く覆うと、雑草が生えにくくなります。生育旺盛な雑草が根まわりに多く茂ると、せっかくあげた肥料が雑草に吸収され、目的のブルーベリーから横取りされてしまいます。雑草を頻繁に除去すれば問題ないのですが、なかなか手がまわらず、気づくと根まで抜けないような大きな雑草になっていることがしばしばです。
    マルチをすると、雑草除去の手間が省けて快適です。

  3. 降雨による土の荒れ(肥料の流亡、土が固くなること、etc.)防止
    マルチをして、雨が直接土を洗わないようにすると、土が固くなったり、肥料が流れてしまうことを防げます。土が直接雨に洗われると、土の団粒構造が崩れて、その結果として土が固まるようです。草取りをしっかりした土の表面と、草が繁茂して直接雨があたらない土の表面を比較すると前者の方が圧倒的に固いのはこのためです。
    ブルーベリーはふかふかの土壌に細根を展開する植物であるため、土を柔らかく保つこの効果は捨てがたいものがあります。

  4. マルチ資材が腐植することによる土の肥沃化
    マルチ資材に有機資材を使うと、そのマルチ資材が腐植化して、土を肥沃化する二次的効果が狙えます。
    これも、有機質の多いふかふか土壌を好むブルーベリーにとっては、とても嬉しい効用です。

  5. 病害虫抑制
    これは、あったらいいなの類の効用で、これから実際の効果を探っていこうと考えている項目です。
    マルチ資材に、病害虫が嫌うような資材を使うことで、ブルーベリーに病害虫がつきにくくなったらいいなと思っています。
    例えば、ヒノキは虫がつきにくく、ヒノキの建築物は長年持つと言われています。また、虫除けの樟脳の香りは、クスノキです(だったハズ)。
    ヒノキとクスノキのチップでマルチすれば、最強の病害虫抑制効果が得られるのではないかと思えるワケです。

ということで、マルチはブルーベリーに最適なんですね。

Let's mulch !

です。


庭に置いている鉢植えブルーベリーにマルチをしてみて、上記以外に次のような効果もあることが見えてきました。ますますマルチは手放せないアイテムになっています。

  • 土の表面に上がってくる細根が保護され、マルチの下で細根が元気に活動する。
  • 水を勢い良くやっても、表面の土がえぐれない。
  • 鉢土の表面にコケが生えない。


各種マルチ資材の効用比較

前述a.〜e.の効用が各種のマルチ資材でどう期待できるかをまとめてみました。

マルチ資材 / 効用 a.

湿

b.




c.





d.



e.





備考
モミ殻 腐り難く、稲作で使われる農薬類の残留もやや気になる。
カンナ屑ほどではないが風での飛散も難。
稲わら 古くからの敷わらの資材。
コンバインでのお米収穫では、わらは出ないため入手が困難かも。
麦わら 一部の地植え株に使ってみたところ、1シーズンはしっかりとしていて使い心地は良好でした。
麦が作られている地域で入手できたら使ってみても良いかも。
刈草マルチ 腐植化は早く、土の肥沃化の効果は大。
種のついた草を敷くと、腐植後に草が生える原因に。
周囲の草を刈って敷くだけのため、お金もかからず草刈+マルチの一挙両得。
製材屑
(おが屑、かんな屑)
かんな屑は風で飛散するため、敷いた後の風対策要。
広葉樹が混入したものは、コガネムシの幼虫などを寄せることになるため注意。
バーク堆肥原料チップ
(未発酵)
腐植化は早いが、雑草の種の飛来でマルチの上に草が生える可能性あり。
建築廃材混入の可能性もあるため、原料確認要。
針葉樹の樹皮・小枝チップ 針葉樹(スギ、ヒノキ)の香りによる病害虫抑止効果に期待。
細かな皮・小枝も含まれるため腐植化によって土を肥沃にする効果も狙える。地植え株にお薦め。
針葉樹のチップ 針葉樹(スギ、ヒノキ)の香りによる病害虫抑止効果に期待。
チップのサイズが大きいものほど腐植化には時間がかかる。
鉢植えのマルチ資材としてはお薦め。
広葉樹のチップ × コガネムシの幼虫などを寄せることになるため不適。
インテリア・バーク
(松の皮チップ)
鉢植えなどに見栄えは良いが高価。
ポリマルチ
(黒ビニール・マルチ)
× 腐植化して土を肥沃にする効果はなし。
1年ほどで劣化して千切れやすくなるため、後始末が難。
紙マルチ × ポリマルチのような後始末の煩雑さはないが高価。
また、ポリマルチよりも短命。

◆ 各種マルチ資材のイメージ

針葉樹のチップ(大)
スギ、ヒノキを主としたチップ。写真のものは、皮付きのままチップ化されたもの。
木の香りが強く、病害虫の抑止効果も期待できる可能性大。
我が家では、鉢植え用にこれを使うことにしました。


インテリアバーク(L)
大鉢に敷いた時の見栄えはさすがにピカイチ。しかし、腐植しての土の肥沃化と病害虫抑止効果は殆ど期待できず。


インテリアバーク(M)
中鉢に敷いた時の見栄えはOK。しかし、腐植しての土の肥沃化と病害虫抑止効果は殆ど期待できず。


針葉樹のチップ(小)
針葉樹チップの細かいものです。鉢に置いた時の見栄えは大きいサイズの方が良好です。


バーク堆肥原料チップ
見た目はバーク堆肥と間違えるほど(当たり前ですが・・・)。細かすぎるため、草の種が飛来すると草が生えそう。


針葉樹の樹皮・小枝チップ
バーク堆肥の原料よりはかなり粗め。腐植による土の肥沃化効果もそれなりに狙えそうなため、畑での地植え株にはこのマルチ材を使いました。