pHチェッカー

ブルーベリーは酸性土を好み、土壌が中性〜アルカリ性になるとクロロシスなどの成長障害を起こすことがあります。栽培規模に合ったpHチェッカーを入手して、鉢植えに使う用土のpHを調べたり露地植え場所の土の酸度を調べることで、安心してブルーベリーを育てることができます。

pHチェッカーは安価なpH試験紙から高価なpHメーターまで各種ありますが、お薦めは、pH試験紙、または、取扱いが簡単なデジタルpHメーターです。
pHチェックの頻度が多いようなら、取扱いが簡単なデジタルpHメーターが最も実用的かと思います。

以下は、Sevenが実際に使ってみての感想です。

機種 測定精度 お手軽さ 微量サンプル測定 備考
土壌酸度計
(タケムラ電機)
△〜× × 測定精度はお世辞にも良いとは言えません。測定精度を鑑みて、コストパーフォーマンスはNGです。
デジタルpHメーター
(アタゴDPH-1)
× お手軽で測定精度バッチリです。安価なところも◎。
デジタルpHメーター
(ホリバ Twin pH B-211)
微量サンプルで楽に測定できるのが◎。センサー部のメンテナンスにやや気を使うのが△。
デジタルpHメーター
(ホリバ Twin pH B-212)
2点校正式になる分、B-211よりもかなり高価になるのが△。
pH試験紙
(pH1.0〜pH11.0)
○〜△ 発色後の色比較に慣れが必要。しかし、精度バッチリで安価なところが◎。
pH試験紙
(pH3.4〜pH6.4)
○〜△ 発色後の色比較は、広いレンジのpH試験紙よりさらにシビア。ブルーベリーに適さないpH値で赤色を示すのが面白い。

土壌酸度計



「タケムラの土壌酸度計」というパッケージ表示で売られていた土壌pH計です。株式会社竹村電機製作所が出しているもので3千円代で購入しました。
測定精度は測定方法次第のように感じます。例えば、未使用のピートモスを1日以上ひたひたの水に漬けた状態で測定するとピートモス・メーカが示しているpH値に寸分の狂い無く一致します。その一方、水分の少ない土に直接挿して測定した場合は測定毎に値が大きくバラツキます。また、先端の電極部分は細かな目の紙ヤスリで測定直前に磨いてあげると、確度の高い測定結果が得られます。このあたりの特性をしっかりと把握した上で活用することが必要です。
また、他の機種を含め、このように土壌に直接挿して測定するタイプは、接触した箇所の土壌の性質しか見れないというデメリットもあります。あちこち挿して測定し、平均的にはどうなんだろうと考える必要があります。
ただし、前述のような測定方法による値のバラツキなのか、測定箇所の土のバラツキなのかの判断がつかず、頭が混乱してきてしまうという面があります。


デジタルpHメーター (アタゴDPH-1)



アタゴが出している定価\14,000のデジタルpHメーターです。
デジタルpHメータは、センサー部分(右上写真)を蒸留水で洗浄しなければならないとか、標準液での校正を頻繁に行わなければならないとか、また、センサー部分が短命であったりとか、いろいろと懸念事項があり、今までは手を出していませんでした。
ところが、このデジタルpHメーターはそれらの懸念が少なく、取扱いが手軽で、かつ、値段も安めだったため、ついに入手しました。

使ってみての感想は、なんでこういう製品を早く使わなかったのだろうというもの。
とても手軽に、正確に測定でき(同じ用土を測った時に同じ値が確実に出る)、とても満足行くものです。

鉢植えのpHを測定してみた写真は以下です。



鉢の上からチョロチョロと水を入れ、鉢の下から出てきた水にpHメーターのセンサーを浸けて測定しました。
同じ用土で同時に植えた複数の鉢で、pH値が 0.1 ぐらのバラツキの範囲で収まり、とてもSUREな感じです。

予算が許せば、この手のデジタルpHメーターを1本持つのがお薦めです。
土壌に突き刺して使うタイプのpH計に中途半端な投資をして試行錯誤するよりは、トータルでお得と思います。(思考錯誤してしまった Seven の実感です)

なお、デジタルpHメーターを選ぶ際のチェックポイントは以下です。これらの点をチェックした上で機種を決められると良いと思います。

  • センサー部分のメンテナンス性
    蒸留水でいちいち洗浄しなければならない機種は避けた方が無難かと思います。
    蒸留水を用意して洗浄する手間もさることながら、それだけセンサー部分がシビアに出来ていて、洗浄を誤れば狂いも生じ易いと考えられます。

  • 校正の必要頻度
    頻繁に校正が必要となっている機種は、避けた方が無難です。
    頻繁に校正が必要な機種は、高精度ですが、ブルーベリーの用土測定には、取扱いが煩雑すぎると思います。

  • センサー部分の寿命と交換部品の価格
    これも精度とのトレードオフと思いますが、ブルーベリーの用土測定には、それほどの精度は必要無いため、センサー部分の交換が実質不要なものが良いと思います。

  • その他
    本体は防水仕様のものの方が使い易いです。



デジタルpHメーター (ホリバ Twin pH B-211 / B-212)


ホリバが出している微量サンプルも測定できるデジタルpHメーターです。

アタゴのデジタルpHメーターの後に入手しました。
値段はやや張るのですが、使い勝手はアタゴのDPH-1よりも◎なことが多いです。

鉢土のpH測定でも、鉢に水をゆっくりとやり、底から出てきた水を数滴センサーに乗せるだけで正確なpHが得られます。
アタゴのpHメーターでは、底から出た水をかなりの量貯めないと測定できませんが、このpHメーターではその煩わしさがありません。

ホリバのこのタイプのpHメーターは、2点校正式の B-212 と、1点校正式の B-211 がありますが、B-211 の方で十分ではないかと思います(ちなみにSevenは、B-212 を買ってしまいましたが・・・)。


pH試験紙(pH1.0〜11.0対応)


ADVANTECさんが出しているpH試験紙の中で、pH1〜11に対応した「ユニバーサル」という試験紙です。
実際に使ってみましたが、上記の「タケムラの土壌酸度計」よりも扱いが簡単で、大まかなpHを測定するにはこちらの方が良いと思いました。

使い方は試験紙を切り取り、測りたい溶液にサっと浸けるだけ。長く水に浸けるのはNGのようですが、一瞬にして色が変わり、だいたいのpHが判断できます。

以下は実際に測定した状況です。



ピートモスのpH測定です。
バケツにピートモスを入れ、水を浸した状態で置いておいたものです。(ブルーベリー植え付けの時にピートモスを湿らす要領そのままです。)
ピートモスの色が写らないよう、念のためキッチンペーパをピートモスの表面に乗せ、その上に試験紙を置きました。
結果、右の写真のように、pH4.0前後ぐらいであることが手軽に確認できました。
※ 使ったピートモスはカナダ産ピートモスです。






次は、鉢植えブルーベリーの用土チェックです。
左上の鉢植えをエイっとばかりに鉢から抜いて、右上の状態にします。
根鉢の側面に試験紙を押し付けて、水分を試験紙に染み込ませたのが右の写真です。
写真の下側の試験紙は、水分を染み込ませていないものを、比較のために並べているものです。
やや斑となってしまいましたが、水分が染みた部分は、やや黄色に変色し、pH5.0以下が維持されていることが確認できました。



最後に参考までに、硫安の溶液と、食酢を測ってみました。
その結果が右の写真です。
右上でオレンジに変色しているのが食酢、右下でグリーンになっているのが硫安です。
食酢はともかく、硫安はもっと酸性なのかと勘違いしていました。
写真では比色がうまくできませんが、肉眼で見たところ、硫安の溶液はpH5.0前後のようでした。

pH試験紙(pH3.4〜6.4対応)



上と同じく、ADVANTECさんが出しているpH試験紙です。

色の変化がブルーベリーの土壌チェックにピッタリなんで使ってみました。

右下の拡大写真で示したカラーチャートのとおり、pH4.6〜5.2 (ブルーベリーの生育に最適)で緑色系、pH5.6以上(ブルーベリーの生育には適していない)で赤色系、pH4.2以下(ブルーベリーの生育にはややpHが低い)で黄色系に発色するpH試験紙です。

pHが高いと赤系の発色でビシっと警告してくれるんで、ブルーベリーの用土チェックには最適かと思います。
ただし、植え替えならともかく、用土の酸度を調整するためには、上で紹介した広い範囲を測定できるpH試験紙で凡その酸度をチェックする必要がありますが・・・。

以下は実際に測定した状況です。


左から順番に、(a)根鉢に押し付けた試験紙、(b)測定前の試験紙、(c)水道水に浸けた試験紙、(d)ピートモスに水を含ませたものに浸けた試験紙、です。
(a)と(d)は前述のpH試験紙での条件と一緒のやり方で測ったものです。
(a)はやはり斑になっていますが、水分が十分に滲みた部分は、緑系の発色(というか使用前の試験紙に近い)になっています。
(d)では、ピートモスが未調整で、ブルーベリーの栽培に適したものであることを示してくれています。


これは参考のために測定したもので、左から順番に、(a)硫安の溶液に浸けた試験紙、(b)水道水に浸けた試験紙、(c)硫安の溶液に浸けた試験紙、(d)食酢に浸けた試験紙、です。
この結果から見ると、硫安の溶液は、酸性でも弱酸性であって、硫安の溶液をやっていればブルーベリーが健康に育つというのはpHの問題ではなく、肥料成分の効能であることが分かりました。(あちこち誤解を生む情報を流してました・・・。スイマセン。)

前述のpH試験紙では、pH5.0〜6.0前後が曖昧になってしまうので、このpH試験紙と併用でチェックをするのが良いかもしれません。


 硫安の溶液が酸性ではないことの補足です。調べたところ、硫安は、生理的酸性肥料といって、土に施してアンモニアが作物に吸収されると、土が酸性にかたむくものだそうです。この話を知らなかったので「硫安の溶液をやっていればブルーベリーが健康に育つというのはpHの問題ではなく、肥料成分の効能であることが分かりました。」なんて、またまた間違った情報を流してしまいました。再度、大変申し訳ありません。
硫安は、硫酸とアンモニア態窒素の化合物で、土に入ると、硫安のアンモニアは作物が吸収し、酸である硫酸は土に残りpHを下げるというのが正解です。
上のpH試験紙でのテストは、化合物状態の硫安を水に溶かしただけで測定したので中性を示しているということでした。