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マルハナバチとブルーベリー (04/25/01)

ブルーベリーの他家受粉を助けてくれるマルハナバチについてまとめました。

我が家にマルハナバチが来てくれました

ブルーベリーの花の蜜を吸うマルハナバチ
ある日ブルーベリーの花に黒っぽい大きめなハチがブンブンしているのを発見。最初はよく判らないハチ類?と思って見てましたが、そのうちに野菜の受粉などで活用されているマルハナバチかもと思いつき、調べたところどんぴしゃりマルハナバチでした。

昨年まであまり見かけた覚えがなかったのですが、今年は、一旦確認した後毎日見るようになりました。
ブルーベリーの大きめの株が増え、花も去年に比べて飛躍的に増えたので、マルハナバチから見ても魅力のある花園になったのかもしれません。
これで、とりあえず今年は受粉の問題はクリアです。他家受粉が確実にされたことで実成りが良くなったり、粒も大粒化したりするのではとの期待に胸を膨らませています。まったく嬉しい限りです。


ところでマルハナバチってどんなハチ??

後足の「花粉かご」に花粉を貯めている
自家受粉の難しい植物の受粉を助けるハチということは野菜栽培の雑誌などで目にしていたのですが、我が家で見かけるようになったことで、もう少し調べてみました。

マルハナバチは、膜翅目ミツバチ科マルハナバチ類の総称で、花の蜜を集めるので有名なミツバチさんの親類筋のようです。
ミツバチと同じように女王バチを中心にコロニーを形成し、働きバチが花の蜜と花粉を集めてきて子を育てます。ミツバチとの違いは、長い舌とか特有な集粉行動によって特殊な形態の花にも対応できることにあります。ブルーベリーのような下向きで釣鐘状の花は、どちらかと言うとマルハナバチの守備範囲のようです。

日本には、4亜属14種のマルハナバチ類が生息しており、それぞれで体色/分布/得意とする花が異なっています。ただし、分布が重なり、かつ、体色が似ている種類では、捕獲して仔細に比較しないと正確な種の見分けは難しいようです。我が家を訪れる写真のマルハナバチも、クロマルハナバチかコマルハナバチのどちらかと思えますが、正確なところは不明です。

なお、調べるうちに判ったのですが、ハウス栽培のナス・トマトなどの受粉に利用されているマルハナバチは、日本在来種ではなく、外来種が主体のようです。それも、日本国内で飼養されて農家に供給されているものは少なく、コロニーごと輸入され供給されるものが殆どという話を目にしました。
近年、この外来種がハウスから抜け出て野生化し、日本の在来種の生態系を崩してしまうのではないかという危惧があるようです。日本でブルーベリーの受粉にマルハナバチを利用しているという話は聞いたことがないですが、もし利用する場合は外来種を使うのは慎重に考えた方が良いようです。


マルハナバチはどうやって蜜と花粉を集めるの??

花冠と一緒に落下するマルハナバチ

マルハナバチの爪痕
蜜はストロー状の舌で採取し、蜜胃と呼ばれるところに格納して巣に持ち帰るようです。マルハナバチはこの「ストロー状の舌」が長いので、釣鐘状で花冠が長い花からも蜜を集めることができます。ブルーベリーの花なんかは序の口で、もっと花冠が細長い花でも No Problem のようです。

一方、花粉は、花を振動させて落ちてきた花粉を体毛で受け、それを後足にある「花粉かご」と呼ばれる器官につけて巣に持ち帰るようです。これを「振動集粉」と呼ぶようで、写真の「花冠と一緒に落下するマルハナバチ」は、この「振動集粉」の最中に花冠が外れてしまい、花冠を掴んだまま落ちてしまったの図です。「サルも木から落ちる」的な光景をたまたま撮影することができました。
マルハナバチ本人としては、突然ぐらっときて、「ああぁぁぁ〜〜〜(フェードアウト)」で、冷や汗もんだったのかもしれませんね・・・。

冗談さておき、いつもは足の爪をしっかりと花冠に食い込ませ体を支えている姿が観察されます。花冠に爪を立てるので、マルハナバチが訪れた花の多くは、「マルハナバチの爪痕」で示している写真のように、花冠の中ほどに茶色の染みがついています。他にはこの染みを説明できる要因がありませんので、マルハナバチの仕業確定と思います。
自分のところのブルーベリーにマルハナバチが来ているのかどうかは、仔細に花を観察し、この爪痕があるかどうかである程度判断できそうです。

ところで、マルハナバチが蜜と花粉を集めるという話を書きましたが、それぞれの栄養素についても今回判りましたので紹介しておきます。蜜は炭水化物で、花粉はタンパク質ということです。巣に持ち帰った後、それぞれをミックスして子に食べさせるのだそうです。それぞれが炭水化物とタンパク質ということはよく考えれば想像のつく話ですが、両者を子に食べさせる時にミックスするという話は、自然の仕組みの精巧さ、緻密さに関心させられます。


さらにマルハナバチのおもしろ習性
今回、マルハナバチについて調べて、なるほどと納得した話がもうひとつあります。
それは、マルハナバチが、固体毎に守備範囲の花が違うという面白い習性を持つことです。
専門的にはこの習性を「限定訪花性」と呼ぶそうです。
守備範囲とする花は、季節ごとの花の移り変わりによって変えていくようですが、ある季節を切り出して見ると、特定の固体は特定の植物の花のみを訪れて蜜と花粉を集めるようです。一時点で特定の固体が複数種の花を訪れることはないということです。
コロニー全体で見ると、花の種類毎にご担当者が決まっていて、朝始業と共に、おのおの自分が担当する仕事場(花)に出かけて行くということになるようです。そして、担当する仕事場(花)での仕事が終了(その種の花の開花期間終了)すると、次の仕事場に移るということです。

我が家に昨年までマルハナバチが顔を見せず、花が増えた今年から二匹ぐらいが来るようになったのはこの習性に起因しているようです。すなわち、昨年まではマルハナバチ1匹を満足させるだけの量の花が無く、今年は2匹を満足させるだけの花があるということだと思います。毎日必ず二匹ぐらいが庭をウロウロしているのも、この二匹がブルーベリー担当者と理解すれば至極納得行きます。

よって、マルハナバチをブルーベリーに呼びたいのなら、近くにマルハナバチのコロニーが存在することを前提に、ある程度の数のブルーベリー株を揃えないとダメなのではないかと思います。「ある程度の数」がどれくらいかを我が家の例で考えるなら、180cmぐらいに育った Homebell 1株では不足。4年生ぐらいの花芽をきっちりつけた株が3〜4本でスタートラインぎりぎり、ぐらいかと思います。

栽培スペースがそこまで無いという場合は、挿し木しまくり、隣近所に苗木配りまくりで、御近所総がかりでマルハナバチを呼ぶという手もあるかもしれません。

最後にこの特異な習性に関連して注意すべきもう一点は、「庭のブルーベリーに来たマルハナバチは絶対に捕獲するな!」ということです。
一般家庭の庭規模のブルーベリーに訪れてくれるマルハナバチ(ブルーベリー担当者)は1匹あるいは多くて数匹だと思いますので、その中の1匹を失うことは大打撃です。
いくらマルハナバチの種類を確認したいと思っても、捕獲は厳禁。もし、どうしてもということなら、自分のブルーベリーからできるだけ遠くでマルハナバチ(ブルーベリー以外の花の担当者)を捕獲して観察せよ、ということになります。

今回もまた、なんだかまとまりの無い話になってしまいましたが、覚えておくと得するポイントは盛り込んだつもりなんで、よろしければ参考にしてください。



付記:
マルハナバチの野菜の受粉への利用は、海外(ヨーロッパ、北米)の方がかなり進んでいるようです。ブルーベリーの受粉にもマルハナバチを利用するケースもあるようです。
ただし、使うマルハナバチは、本来その土地に生息している種類を人工的に増やして利用しており、日本のように外来種主体で利用しているところはないようです。