実成りと樹の生育 (06/02/03)

実が成り過ぎると樹の生長にどう影響が出るかを紹介しました。

実の成らせすぎは成長を抑える

我が家では、実を成らせる量を調整するということは未だしたことが無く、また、そうした中でもみんな元気にそれなりに成長してきています。
当初は、ホームページでも「実を成らせても成長にあまり影響はでません」的なことを書いていましたが、それは誤りでした。
花の量、実の量、は成長に確実に影響を与えます。

今年、典型的な例が Top Hat で観察できたので、それを紹介すると共に、どう育てたら良いか思うところを書いておきたいと思います。

なお、下で取り上げている Top Hat は 3本とも 2000年に挿し木して、30cmぐらいに成長した株です。

旺盛な生育 〜 実は無し

まずは、旺盛な成長を示し、新芽の展開も著しい株です。

この株は、今シーズン花芽が着かず、花も無かった株です。
写真撮影の5月28日の時点で、二次成長に既に入り、新鞘をあちこちから伸ばし始めています。

通常の生育 〜 実は少々

こちらは通常レベルの生育度合いを示している株。

この株は、花芽はほどほどに着きましたが、実となった数は少なく、10粒前後の実が大きくなりつつあるところです。
写真撮影の5月28日の時点では、二次成長の新芽がちらほらと見え始めたぐらいです。

春の一次成長(葉芽が展開し、今年はじめての葉/新鞘が展開するフェーズ)では、上の株と殆ど同じような生育具合でしたので、開花〜受粉〜幼果の充実の過程で、そちらの方にエネルギーがとられたことで、上の株との差が生じているものと思われます。

明らかに元気なし 〜 実のつきすぎ

最後は、新鞘/葉の展開が著しく悪くなっている株。

この株は、花芽がびっしりと着き、実となった数の割合としては前の株と同じぐらいですが、70粒前後の実が大きくなりつつあるところです。
写真撮影の5月28日の時点では、二次成長の新芽がほんの少しだけ見え始めたぐらいです。

春の一次成長でも、前2つの株とは明らかに生育具合が異なり、新鞘/新芽の展開が著しく悪くなっていました。
これを見ると、開花〜受粉〜幼果の充実の過程だけではなく、花芽の充実〜開花の過程でも花芽が多いとかなりのエネルギーをとられることが判ります。

株の成長を早くするためには

上のような例を見て改めて思うのは、株の成長を早くするためには、花芽の数のコントロールが必要ということです。

花芽が異常に多い場合は、冬の剪定時点で花芽を落とさないと、春の成長が阻害されてしまうということが判ります。
また、通常レベルの花芽の数でも、株の成長を急ぐ場合は、花芽の数を冬の剪定時点で減らすか、または、少なくとも開花後に幼果を落とすようにすることが必要そうです。

ここで、花芽の数を「異常」「通常」と書きましたが、ここの見極めが本当は重要なんだと思います。
本来は、客観的に誰もが判るレベルでの尺度を示せれば良いのですが、まだそこまで判らないので、今思っているところを書くと、1本の枝についている葉芽と花芽のバランスを見て、花芽の数が多いようなら「異常」事態ではないかと思います。
まだそれでも花芽が多すぎるようにも思いますが、今のところはこのあたりが尺度かと思います。

どんな管理が良いのか

最後に蛇足ながら、実成りのコントロールについての Sevenの考えをつけておきます。

上記はあくまで「株の成長を早くするためには」ということで、良い管理というのはまた話は別で、実成りをコントロールする件については、「ブルーベリーを楽しめれば、なんでもいいんじゃないの・・・」と思います。

「成長が悪くなるので実は着けさせない方が良い」って書いてあるから、数年は我慢して実を成らせないようにしようなんてストイックに構える必要は全くないと思います。

実を成らせすぎてしまって樹が枯れたなんてことは少なくとも我が家ではありません。
実が沢山成って樹が疲れたら、「元気になってね!!」って追肥して水をしっかりやればOKじゃないかと思います。

ブルーベリーの摘みたての実を食べてみて、「あ〜、美味しい!」ってことで、その後の管理にも力が入るというもんだと思います。

付記

さらに蛇足ながら・・・。

言われるがままのやり方で結果を得るより、効果/影響を理解した上で、自分なりのやり方を選択するという、どちらかというと自己責任的な考え方が好きですね。

ブルーベリーについても、「こう育てないといけない」という情報より、皆さんが自分流の育て方を組み立てるための参考になるような情報を提供していければ良いなぁと思ってます。